管理会社から提案された2千万円の借入れ、紹介された施工会社からの横並びの工事見積金額に総会は紛糾。この状況の打開に外部の専門家が必要と判断しましたが、管理会社と余計なトラブルが起きることもなく、管理組合主導で借金もせず予算内に収めることができ本当に良かったです。
第1回目の大規模修繕工事を控え、管理会社主導で進めていた状況から、急遽マンション管理士事務所を起用することにした千葉県内マンションF管理組合様。管理会社との関係がこじれる一方、理事長として大規模修繕工事を主導しなければならない重圧の中、重松マンション管理士事務所のサポートを受けながら重責を果たされたその課程や経緯を、管理組合理事長 松田様にお伺いしました。
竣工 | 1997年9月 |
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戸数 | 54戸 |
マンション形態 | ファミリータイプ |
管理形態 | 管理会社に全面委託 |
主な支援内容 | 大規模修繕工事コンサルティング・支援 |
――なぜ大規模修繕工事のコンサルティングを外部の専門家に相談しようと思ったのですか?
私どものマンションは、第1回目の大規模修繕工事を計画していましたが、進め方がよく分からないこともあって当初は管理会社にリードしてもらう方向で進めていました。
ところが、組合員に十分な説明もなく総会の議案に大規模修繕工事の提案が上がってきました。しかもその内容は現在ある修繕積立金では実施できない内容で、約2千万円の借入れをして行うというものでした。
また、管理会社の下で実際に工事を行う施工会社については3社の候補会社から見積金額が提示されていましたが、3社ともほぼ横並びの金額でその妥当性については素人の私たちが見てもおかしいと思うような状況でした。
――その後どうなったのですか?
当然総会は紛糾し、結局その議案は継続審議となって流れてしまいました。
それを受けて、私が翌年理事長に就任しましたが、このような状況を打破するには、管理会社にお願いするのではなく、管理組合の立場でコンサルティングをしてくれる外部の専門家を起用した方が良いと考えました。
――どのようにして重松マンション管理士事務所を知ったのですか?
私と妻の二人でインターネットの検索を活用して調べました。
改修工事専門の設計事務所もインターネットで調べましたが、管理会社との関係がギクシャクしていたこともあり、今後大事業を進めていく上で管理会社をきちんとコントロールしながら進めていくには、専門知識があり経験豊かなマンション管理士事務所を第1のパートナーとして選んだ方がよいのではないかと思いました。
重松マンション管理士事務所は契約実績も豊富で信頼がおけると感じ、当マンションに近い場所に事務所を構えているということもあって、一度会って相談したいと思うようになりました。
――相談した結果はどうでしたか?
電話で何度かやり取りをした後、管理組合に来ていただいて、有償で約2時間の勉強会を実施しました。
勉強会の中では、大規模修繕工事の意義や進め方、発注の方法、建設業界の事情などを大変分かりやすく解説していただいたので、出席した組合員からも好評でした。
そして、重松マンション管理士事務所に依頼した場合の報酬、設計監理方式で進めた場合の設計事務所に支払う報酬、一般的な仕様で実施した場合の概算工事費等も説明してもらい、概ね納得できたので、臨時総会を開催し、総合コンサルティングを重松マンション管理士事務所に依頼し、大規模修繕工事は「設計監理方式」で進めることを決議しました。
――契約後の業務内容はどうでしたか?
重松マンション管理士事務所には、設計事務所の選定と、施工会社の選定までをお願いすることにしました。
設計事務所の選定は、アドバイスとサポートを受けて業界新聞で公募しました。応募してきた全社に見積りを依頼し、金額、実績、ヒアリングの印象などを参考にして決定しました。
▼見積もり依頼後の面談(ヒアリング)の様子。詳細はこちら。
統一した仕様で見積を比較するための要項書の作成、現地下見及び質疑に対する対応、比較一覧表の作成などは全て重松マンション管理士事務所にやっていただきましたので、私たちはその資料を基にヒアリングを行ったときの印象などで選定することができ、大変助かりました。
また、工事業者の選定も公募で行いましたが、談合防止のため業者の選定は管理組合主導で実施することとし、業者名は見積提出が終わるまでは設計事務所にも伏せて実施することとしました。いずれも、重松マンション管理士事務所のアドバイスによるものです。(注:この時の工事業者選定の様子は、読売新聞の取材を受けて、社会面に掲載されました)
▼選定した工事業者からプレゼンテーションを受けている様子。詳細はこちら。
もちろん、応募してきた施工業者の概要一覧表※1の作成や見積依頼をする業者の選定に関するアドバイスは、設計事務所ではなく全て重松マンション管理士事務所にやっていただきました。
※1:資本金、実績、信用情報などをまとめた表のこと(写真左下)。右下は「見積り金額比較一覧表」
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――ご負担がかかった部分もあったと思いますが、そのあたりはいかがでしたか?
設計事務所に任せない分、業者による現地の下見対応などは管理組合自らが実施することになりましたので、私どもの負担もそれなりにかかりました。
しかし、談合防止の観点ではやむを得ないことですし、逆に管理組合主導で一つずつ確認、納得しながら進められたのは、責任ある理事長という立場的にも良かったと思います。もちろん素人の私どもだけではできるわけがなく、サポートがあってこそできたことですが、とにかくわからないことばかりでしたので大変勉強になりました。
任せっきりにできればもっと楽だったのは確かですが、今後、小規模な修繕の時や、もしかしたら次回の大規模修繕工事の時など、この経験が少しでも活かせる場面があるのではと思っています。そういう意味でも、きちんとした外部の専門家に入っていただき、サポートしてもらいながらも管理組合主導で実施できた意味は大きかったと思います。
――その後はいかがでしたか?
その後、理事会は所定の手続きを経て秋の通常総会に望みましたが、内定した施工会社を満場一致で承認してもらったときはほっとしました。
重松マンション管理士事務所には、そこまでの約10ヶ月の業務をこなしていただき、無事契約期間が終了しました。
スケジュール的に余裕がない中で、設計事務所と施工業者選定のサポートだけでなく、説明会資料や総会議案書の作成など、管理組合の合意形成のためのアドバイスをしていただき多くの面で助かりました。
また、管理会社との関係がギクシャクしていたと申し上げましたが、重松マンション管理士事務所の存在がなければ、日常の管理組合運営などでも不要なトラブルが起きていたかもしれません。結局その管理会社との契約をは打ち切ることにしましたが、通常総会までの間、管理会社と余計な揉め事が起きず良かったと思います。
――重松マンション管理士事務所に支払った報酬はいくらですか?
設計事務所と工事会社の選定サポートで約60万円でした。
当初は約2千万円の借入れをして大規模修繕工事を実施しなければならないというびっくりするような状況でしたが、予備費5%を含めた工事費用に、重松マンション管理士事務所と設計事務所に支払った報酬をプラスしても、理事会が希望する予算内で収めることができて本当に良かったと思います。
――これまでを振り返りながら、最後に一言お願いします
大規模修繕工事の実施や管理会社との問題を抱えた状況でいきなり理事長になったときはどうなることかと思いましたが、重松さんのおかげで大きな山を越えることができて大変助かりました。
また、業界用語など専門的な事柄も勉強させていただき非常に感謝しています。困ったことがあったらまたサポートをお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。
ご協力ありがとうございました。