一番助かったのは会計処理のサポート業務ですね。築30年以上経ち、高齢化が進み過去に出来たことが出来なくなりましたが、私達は管理組合業務を切り分け、専門的な知識やスキル等が必要な業務は専門家を活用することで、今後も安定した管理組合運営が可能だと考えています。
これまで自主管理でやってきたという築30年以上の千葉県内のマンションB管理組合様。組合員の高齢化が進み、役員のなり手は不足。かつては自分たちで出来た管理規約の改正が、自力では出来なくなった。法改正等も含めたマンションを取り巻く大きな環境の変化の中で、このまま自主管理をすることに関して不安と限界を感じていたという、管理組合理事長、菊地様にお話をお伺いしました。
竣工 | 1969年 |
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戸数 | 460戸 |
マンション形態 | 団地11棟(旧公団分譲の団地) ファミリー |
管理形態 | 自主管理 |
主な支援内容 | 顧問契約(長期コンサルティング・支援契約)/管理規約の改正/会計処理支援/管理窓口業務の見直し/管理費削減/管理費滞納問題解決支援等 |
――管理組合が抱えていた問題はどのようなことですか?
以前は、組合員が自主的に集まってみんなでマンションの管理や運営をやってきましたが、最近は組合員の高齢化が進み、役員のなり手が不足し、一部の献身的な組合員の負担の基にどうにかマンションの管理が実施されている状況でした。
そのため、過去には法律の改正等に応じて当時の理事が主体となって管理規約の改正なども何とか自分達でやってきましたが、現在ではそれができず、管理規約も現状にあったものとなっていませんでした。
また、自主管理で会計や滞納督促などもやってきましたが、理事に会計等の専門家が就任するとは限らないので、パソコンの使い方も含めて、理事の負担が大きくなっていました。その上、過去に管理規約の改正をした時に比べ、関係する法律が新設されたり改正されたり、マンションを取り巻く環境の大きな変化などがあり、専門的知識に乏しい組合員だけで自主管理をすることに関して不安と限界を感じていました。
――重松マンション管理士事務所をどのようにして知ったのですか?
平成16年度に管理規約の改正を考えていた当時の理事長(故人)が、市の無料セミナーに参加した際、マンション管理士という国家資格があり、既に一部の管理士は業として活動を始めていることを知りました。
当時の千葉県マンション管理士会の会員リストから団地の近くの重松さんと接触し、管理規約の改正についての相談に乗ってもらったのがきっかけだと聞いています。
――管理規約の改正作業はどのようにして進みましたか?
理事会で検討後、管理規約改正のお手伝いを重松さんにお願いすることを総会で承認してもらい、本格的な管理規約の改正作業に入ることにしました。
しかし、「規約改正委員会」を立ち上げるつもりで委員を募集しましたが、結局集まらず、やむを得ず理事会主導の下、月2回の勉強会形式で改正作業を進めていくことになりました。
組合員への説明会も数回実施し、実に2年をかけて、国土交通省が公表する最新のモデルに準拠し、かつ、当団地の実情にあった管理規約が完成しました。総会で特別決議の4分の3の賛成を得たときには、当時の理事長も感慨深かったと話しておられます。
――管理規約の改正を成し遂げた後の重松とのお付き合いは?
重松さんには、2年間に渡り管理規約改正に協力してもらいましたが、その間、管理組合運営に関しても積極的に助言してもらいとても助かりました。規約改正後、重松さんの協力的な姿勢に対して多くの理事が高く評価をしていたので、当時の理事長が当団地の顧問として採用することを提案し、総会で承認されました。
現在、重松さんを顧問として起用してから2年目ですが、管理組合は理事会主導で多くの改革を実施してきました。具体的には「管理窓口業務の見直し」「管理コストの削減」「法的措置の実施による長期滞納問題の解決」「こまめな広報活動の実施」「自治会との連携強化」などさまざまです。
そして一番大きかったのは、担当理事が企業会計ソフトを使って処理していた会計処理に関し、重松さんが管理組合専用会計ソフトを導入して会計処理のサポートをやってくれるようになったことです。このことで、毎月の理事会には前月の月次決算報告書が提出され、管理費等の滞納者の管理も素早くできるようになりました。
――重松に支払っている報酬額は?
顧問として日常の管理組合運営のサポート及び会計処理業務を依頼して、月額10万円です。
――最後に、高齢化が進むマンションの管理組合運営について一言お願いします。
旧公団が分譲した団地は居住者も多く、若いうちはそれなりにみんなで頑張って管理してきたと思います。しかし、築30年以上経過した団地は高齢化を抱えてどこも同じような問題を抱えているはずです。
他の団地では、多少の経験や知識を持った事務局長等を雇用して、それなりに対応している団地もあると聞いていますが、私達の団地では、比較的誰でも出来る受付や居住者対応が主体の窓口業務と、専門知識やスキルを必要とする業務をはっきり分け、後者の業務においては管理組合活動のサポートをする専門家を起用することにより、メリハリもあり安定した管理組合運営が可能となり、また費用対効果の面でも合理的だと考えています。
但し、潜在的な部分も含めた管理組合のニーズにきちんと応えることができるマンション管理士であることが絶対条件です。
ご協力ありがとうございました。