単に建物を綺麗にするのではなく、長期に渡る管理組合の運営・資金計画等を考えた上で大規模修繕工事を進めたいと考え、設計事務所ではなくマンション管理士を選択。結果、談合されることなく当初の価格より3千万円程安く発注でき、幅広くサポートしていただいたお陰で大きな負担もなく重責を果たせ、大変助かりました。
過去2回の大規模修繕工事は、全て管理会社にお任せするスタイルだったという東京都内マンションB管理組合様。築35年が経過し、第3回目の大規模修繕工事を迎えるにあたって、なぜ外部の専門家を起用することになったのか。そして、なぜ設計事務所ではなくマンション管理士をコンサルタントとして選択したのか。管理組合理事長、木村忠様にお話をお伺いしました。
竣工 | 1973年 |
---|---|
戸数 | 90戸+大型店舗2戸 |
マンション形態 | 店舗併用型 |
管理形態 | 大手管理会社 |
主な支援内容 | 大規模修繕工事コンサルティング・支援 |
――大規模修繕工事のコンサルタントをなぜマンション管理士に相談しようと思ったのですか?
私たちのマンションも築35年が経過し、第3回目の大規模修繕工事の準備を進める時期となっていました。
過去2回は、全て管理会社にお任せするスタイルで実施してきましたが、発注した金額の妥当性や施工品質の確認などの面で何点か不満がありました。
ですから今回は、最初から外部の専門家を起用して、第三者的な立場で管理組合にとって最も良い進め方を提案してもらいながら一大事業を成し遂げたいと考えていました。
――大規模修繕工事のコンサルタントといえば一般的には、設計事務所が考えられますが、なぜ設計事務所ではなくてマンション管理士に相談しようと考えたのですか?
設計事務所は、大規模修繕工事の設計監理を行うための業者であると認識しています。
私たちの管理組合は、大型店舗が入居していることや、特定の区分所有者が多数の議決権を有しているなどのさまざまな事情があり、単に建物を綺麗にするという目的だけでなく、長期に渡る管理組合の運営計画や資金計画その他日常の管理における問題点などを考えたうえで今回の大規模修繕工事を進めたいと考えていましたので、マンション管理士に相談した方が良いと考えました。
――重松マンション管理士事務所をどのようにして知ったのですか?
マンション管理に熱心な女性の理事が、以前新聞に掲載された重松さんの記事をみて、いつか役に立つかもしれないと思ってスクラップしていました。
その記事を読み直したうえで、まずは重松さんに相談したいと思いホームページを経由して面会することにしました。
――相談した結果はどうでしたか?
最初に、今回は管理会社任せで工事を進めたくないことや、向う30年を見据えたグレードアップなどの希望を持っていることを話しました。
重松さんは、いきなり大規模修繕工事の実施計画を進めるのではなく、まずは建物の状況を把握することと長期修繕計画書の再整備を提案し、その後資金計画を考えて合理的な大規模修繕工事を実施することを提案してきました。
また、グレードアップ工事として玄関扉、バルコニー手摺、開放廊下手摺などの交換提案やそれに伴う概算費用の提示も行い、意外と金額がかかることの説明や、工事の進め方も、「設計監理方式」や「責任施工方式」があり、それぞれの長所・短所などの説明も分かりやすくスライドを使用して解説してくれました。
――ご懸念されていた管理組合としての問題についてはいかがでしたか?
重松さんは、当マンションの決算書を見て、すぐに同経年、同規模の他のマンションと比較してかなり安く修繕積立金が設定されていることを指摘し、それでもここまでなんとか運営することができた理由(店舗からの電気代収入や設備関連の工事の先送り)なども分析してくれました。
また、この状態が長く続くことはあり得ないとのことで、今後の修繕積立金の必要な値上げについてもアドバイスをくれました。
さらに、日常の管理コストに関しては削減の余地があるとのことでしたので、契約後に早速見直しを依頼しました。
私自身もコンサルタント業をやっているのでわかりますが、この人なら信頼して依頼できそうな気がしたので契約してサポートしてもらうことに決めました。
――契約後の業務内容はどうでしたか?
顧問として理事会に出席してもらい助言を受けながら検討した結果、まずは専門業者に依頼して、建物診断と長期修繕計画の再整備を実施しました。その1年後に、今回の大規模修繕工事は設計監理方式で進めることに決めました。
重松さんは、設計コンサルタントの公募・選定に始まり、臨時総会の議案書作成、その後の工事業者の選定と幅広く理事会をサポートしてくれて大変助かりました。
特に、工事業者選定時には談合の疑いのあった業者を排除して、業者の選び直しにも尽力いただき、最終的には当初の価格より3千万円程安く発注することができて大変助かっています。特に談合の疑いがあったときは、私たちも今後どのようにして進めてよいか不安になったりしましたが、重松さんは「工期を多少遅らせてでも、管理組合の貴重な財産を無駄にしないように・・・」とアドバイスされ、私たちも業者の再選定に踏み切ることができました。
また、臨時総会の議案書作成の時も、選定の経緯や工事が遅れることへの十分な説明ができるよう配慮してくださったので、合意形成もスムーズに進みました。
――管理コストの方はどうでしたか?
見直しをしていただいた結果、管理コストは年間200万円以上削減することができました。そして、管理コスト削減によってできた剰余金を修繕積立金会計に振替えて修繕積立金の値上げ幅を抑えるシュミレーションもやってくれたので、大変助かりました。
――重松マンション管理士事務所に支払った報酬はどのくらいでしたか?
月額約8万円で契約したので、検討開始から工事完了までの約2年間で、お支払した金額は約200万円です。
どこの管理組合でも同様でしょうが、マンション管理組合は専門的知識のない人たちが集まって運営していかなければなりません。
重松さんに的確に支援していただき、個人的に大きな負担もなく理事の重責が果たせたことや、工事業者に談合されず何千万円も助かったことを考えたら安いものだと思います。
――その後、工事は無事終わりましたか?
はい。お陰様で無事完了し、完成図書の確認作業等をやっていただいて、重松さんとの契約期間も終了しました。
一大事業が完了したので、当初の契約どおり契約は終了しましたが、今回はとても良い経験でした。マンション管理に関する諸問題は裾野も広く、奥も深いので必要な機会が来ればまた相談しようと考えています。
――最後に、重松マンション管理士事務所へのご要望などがあればお聞かせ下さい
重松マンション管理士事務所には2年間お世話になりありがとうございました。
私も、大規模修繕工事を完成させて一段落していますが、エントランス周辺の改造工事や、全体の色彩計画、今回予算の関係でできなかった設備関連の工事などまだやらなければならないことが残っています。
重松さんには、今回の工事の内容をきちんと整理して、工事内容の履歴などを確実に整備しておいて欲しいと思います。そして、この次に工事を実施するときには、効率的な資金計画も含めて、また、私たちに適正なアドバイスをしていただきたいと思います。
ご協力ありがとうございました。